近藤建設株式会社の安全対策の取り組みは多彩だ。まず、週に一度、施工現場で現場監督が中心となって徹底した「環境整備」が行なわれる。もちろん、日々3S(整理・整頓・清掃)は励行されているが、よりきめの細かい取り組みによって、“安全環境”を整備する。また小西さんたちが週に2〜3度行なっているのが、「作業所巡視チェック表」による安全点検だ。点検項目は多岐にわたるが、小西さんが最も留意しているのは“足場”だ。
「墜落という重大な事故の危険因子をはらんでいるのが足場。手摺の設置状況や圧縮材使用の有無、作業床の取り扱いなど、徹底してチェックするようにしています」
さらに月に一度、小西さんたち現場監督のみならず、物件に関わった設計担当者、営業担当者による「環境パトロール」を実施。情報を共有することで、より高い安全の確保を目指している。
こうした多彩な取り組みの中でも特徴的なのは「一人KY(危険予知)活動」だ。職人さん一人ひとりが持つのが「KYボード」。それに、その日の作業内容と危険ポイント、対応法を自筆で記す。さらに危険箇所や危険行為に関するチェック欄も設けられており、“自分の身は自分で守る”という職人さんの安全意識を高める優れたツールになっている。小西さんが大切にしているのは職人さんに対する“声かけ”だ。
「単に、現場の安全点検をするだけでなく、ちょっとしたことでも、気が付いたことは声をかけるようにしています。もちろん、指示・指導するという形ではなく、共に働く仲間として気付いたことを指摘する。小さなことが大事故につながることもありますから、丁寧で適切な声かけを心がけています」
小西さんが安全対策で気になっているのが、やはり“足場”でありその組み方だ。どの現場も一定の安全基準に沿って足場は組まれているが、そこに微妙な誤差が生じることがある。
「たとえば、建物の形状や立地、あるいは作業性を考えると、基準内では足場を組めない場合も発生します。戸建注文住宅には、ある意味、付いてまわる課題ともいえますが、高い安全性を確保して高い作業効率が得られる、そんな新しい足場や組み方も考えていきたいと思っています」